「先生、○○ちゃんがあそんでくれない。」
私のところに訴えに走ってきたのは4歳児年中組さんです。「はは~また、自己主張のしあいこが始まった。」私はそう思いながら仲介に向かいます。
4歳児というと「入れてって言ったのに入れてくれない。」とか「私は~したいのに○○ちゃんがダメって言った」とか。
とにかく友だち関係のSOSがとっても多い年齢です。
でも、生まれて5年前後で、そんな風に人間関係に悩むなんて4歳児って頑張ってると思います。
先生、仲間に入れてって言ったのに…
朝からデュプロがいっぱい出て、何人かで話をしながら動物園を作っているようでした。
「おはようございます。朝からたくさん、作っているね。」と声をかけるとニコニコして「これね」「こっちがね」次々に話してくれました。
ひとしきり話を聞いて「さて、連絡ノートの確認でもしようかな」と思った時です。
すこし離れた所で絵本をみていた○○ちゃんが「先生、仲間に入れてって言ったのに入れてくれなかった。」と言ってきました。
どうやら、デュプロを一緒にしたかったのにできなかったようです。
「あ~らま、それは残念だったね。」「うん。△△ちゃんがダメって」「そうか~。なんでダメなのか聞いた?」「□□ちゃんと遊ぶからって」
すると、私と○○ちゃんが話していることに気が付いた△△ちゃんが慌ててやってきて「だって、○○ちゃんはこの前入れてくれなかったもん。」
そういうことでしたか…。
そこで、○○ちゃんにも△△ちゃんにも今の気持ちを聞いてみました。
二人とも何だかわからないモヤモヤがあるようです。そこで今度は「どうしたら楽しくなれるか」聞いてみました。
しばらく、考えたのちに△△ちゃんが「一緒にあそぶ?」と○○ちゃんを誘いました。
私は△△ちゃんに本当にいいのかを確認した後、○○ちゃんに「良かったね。」と言いました。○○ちゃんは△△ちゃんに「ありがとう」と返事して一緒に遊び始めました。
親としては、保育園のあそびで友だちが「入れてくれなかった。」という言葉を聞くと心配だし悲しいし、そんなことが続くと、いたたまれない気持ちになりますよね。
そんな時は、子どもたちには子どもたちなりの理由があるし、そうなってしまった事情もあるので、遠慮なく担当の保育士にたずねてみてください。
以外なことがわかるかもしれませんよ。
みんなちがってみんないい
急激な身心の発達についていけなくて、今までできていたこともしなくなったり癇癪を起して自分の思いを通そうとしたりする時期、『4歳児の壁』。
保育園は、そんな子どもたちが集団でいるわけですから、自己主張合戦が起こるんですよ。
ある日、年少組さんのお昼寝の後片づけに行った時です。お手伝いは、もれなくどの子どもも大好きですから張り切って出かけていきました。
年少組さんの脱いだパジャマをたたんでいる時に「それ違う」「違ってない」といいあいこが始まりました。
どうやら、パジャマのたたみ方について言っているようです。
縦に半分に折るか、横に半分に折るか…大人にしてみたらどっちでも良いことが「私が知っていることと違う」ことで自己主張のしあいこになっちゃったんです。
「ねぇ先生。先に縦にたたむんだよね?」「違うよ。横だよ。だって、お母さんがそういったから。」真剣にパジャマのたたみ方を話している二人が可愛いやらおかしいやら…。イヤイヤ、子どもたちは真面目です。
「あの~。先生がおやつを食べるときに先に牛乳のんでも、後にのんでも、自分がいい方で大丈夫って言ったの覚えてる?それと同じでね。どっちも良いことあるんだよ。どっちも、正しい。」
すると、二人は顔を見合わせ「どっちもいいの?」と確認してきました。「うん。次にパジャマを使う時に困らなかったらいい。」
自分は正しかったけどお友だちも正しかったとわかると、ストンと気持ちが収まってくれることがほとんどです。これって、素晴らしくないですか?「みんな違ってみんないい」が分かっているんですよ。
普通に生活している時も、どっちでもいいことたくさんあります。
そんな時はどっちでもいいことをお子さんと確認してみるとお子さんが安心するんじゃないかな。
自分の世界がある子ども
4歳児になると、友だちと遊ぶことがほとんどで、気持ちの食い違いを言いあいこしながら、少しずつ譲ることも覚えて子ども同士でコントロールするようになります。
しかし、いろいろな個性のあるお子さんがいて、一概に友だちと遊ぶことだけが楽しいわけではないみたいです。
4歳児の担当をしていた時に、友だちと遊べないわけではないのに、気が付くとあそびの輪から外れているお子さんがいました。
でも、どうも、友だちとの関係が良くないわけではなく、自分のしたいことが見つかるとそっちが優先してしまうようです。
どうも私は、子どもは子ども同士遊びたいものという思い込みがあったようです。
ある日、その子の遊ぶ様子を見ていると友だちとの鬼ごっこから抜けたと思ったら鉄棒に行って遊び始めました。
そして、鉄棒で何度も何度も地球周り(脚抜き)を楽しんでいる様子から、その時は本当に鉄棒がしたかっただけなんだと思いました。
そんな、ある日「先生、☆☆ちゃんがかけっこしてたのに勝手にやめた。」とぷんぷんして他の子どもが言いに来ました。
遊んでいる途中で、いなくなったと思ったら小さいお友だちと砂場であそんでいたようなのです。
もちろん、☆☆ちゃんに悪気はありませんが、一生に遊んでいたであろう子どもからしたら「えー?」ですよね。
そこで、☆☆ちゃんにお友だちと遊んでいる時に他のことがしたくなったら、お友だちに「ごめんね。~がしたくなったからやめる。」と友だちに言って行くように伝えたんです。
すると、「あ。」と気づいたようです。「ごめんね。」と本当にすまなそうに言ってました。
単に自分が違うことをしたくなった時にどういう風にすればよいか知らなかっただけなんですよね。
5歳児クラスになる頃にはお友だちと遊びたい時と自分で遊びたい時をちゃんとコントロールするようになっていました。
たまに、自分の遊びを十分に満喫してから、友だちと遊ぶ。そんなお子さんがいます。お友だちと仲良くたくさん遊んでもらいたいけど、一人一人に合った遊び方ってあるんですね。
「今日は一人であそんだ。」と聞いて心配な時もあるでしょうが、本人が楽しそうに教えてくれた時は一人で遊びたいだけなのかもしれませんね。
お友だちについてJOYが思うこと
仲良く楽しくあそぶ…これは、お互いが譲り合ったり気を使ったりすることで成り立つのはオトナはわかっているんですが、子どもはまだまだ発展途上中なので簡単にはいかないんですよ。
お家で園であったことを聞くと思うんですがその時のポイントはお子さんにはそう思えた。または、そう感じられた。ということ。あくまでも、お子さんがです。
何十年も前の話で申し訳ないんですが、私が家に帰ってお友だちとのトラブルを母に言うと「あなたが悪かったんじゃないの?」と言われていました。
未だに覚えていますから、私は自分は言わないでおこうと思っているんですよ。
そんな私も、子どものパンチやキックは叱ります。4歳児はまだまだ思うようにいかないと手足が出やすいです。
でも、どんなことがあってもパンチやキックでは解決しないことを小さいころから教えていくって大切なので、そこだけはしっかりとです。
4歳児になると自分の言葉で思いを伝えられるようになりますから、たまに、日頃の思いを聞いてみるといいかもしれませんね。
おまけ…これ大切ですよ
4歳児さんの間にぜひ、できるようになってもらいたいことがあります。それは、立って靴を履くこと。
避難訓練の時などに消防の方から靴を履いて逃げるように指導がありました。
いざという時に足にけがをせずに素早く逃げることができるように立って履けることが大切なんです。
立って靴を履くのは難しいので練習あるのみ。頑張ってくださいね。