9月22日放送の「あいつ、今、何してる?」で真琴つばささんや檀れいさんが、タカラジェンヌとして活躍していた時にお世話になっていたというかつら職人さんが登場します。
この、かつら職人さん、実はただモノではありません。
谷崎勝久さんとおっしゃる美容協同組合日本デザイン協会(NHDK)の理事を務める大阪美容界のレジェンドです。
長年、宝塚歌劇の裏側を支えてきた谷崎さんのプロフィールと経歴、宝塚歌劇とのなれそめを調べて見ました。

谷崎勝久さんのちょっと変わった経歴
谷崎さんは兵庫県三木市で美容室「プレーゴ」を経営されています。
大学は名城大学理工学部を卒業。
モノづくりが好きで、太陽電池などの研究をしていました。
まったく、畑が違う研究をしていた谷崎さんがどうして美容師の道を進み、宝塚歌劇団のかつらを作るようになったのでしょうか?
美容師の世界に飛び込んだわけ
谷崎さんのお母さんが美容師で、谷崎さんが大学在学中に、大阪の淀橋にお店を構えます。
それをきっかけに、谷崎さんも美容師の仕事に興味を持ち始めます。
谷崎さんは美容師になったのはいいけれど、最初は失敗ばかりだったようです。
ご本人曰く
「長さ何センチ、何度巻いて」を気にして仕事をしていたそうです。
谷崎さんの理系的考えが、感性の世界である美容師には向かなかったのではないかとおっしゃっています。
こういった考え方は、太陽電池を作っていたのですから当然と言えば当然ですよね。
宝塚歌劇団のかつらを作るようになったきっかけ
谷崎さんは理系の考え方で失敗と成功を繰り返しつつ、少しずつ評判の美容師になっていきます。
すると、谷崎さんのお客様の中に宝塚音楽学校の生徒さんが増え、その生徒さんがタカラジェンヌになって、谷崎さんにかつらの注文をするようになったのです。
『ベルサイユのばらと』の出会い
宝塚歌劇と言えば、今も「ベルサイユのばら」と思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?
初演以来、何十回と繰り返されている池田理代子さん原作、フランス革命を軸とした壮大な歴史ロマンです。
「ベルサイユのばら」を演じたいために宝塚歌劇を目指してきたタカラジェンヌも少なくありません。
谷崎さんの転機も「ベルサイユのばら」でした。
オスカルのかつらを作る
谷崎さんは1989年雪組公演「ベルサイユのばら」で主演の一人であるオスカルのかつらを作ることになります。
これは、当時の雪組2番手だった一路真輝さんからの依頼でした。
金髪でクルクルロングカールのオスカルのかつら。
考えただけでも重そうです。
動きやすく崩れにくく軽いかつら
それまでの、舞台用のかつらの重さは2㎏以上になるのが普通でした。
しかし、谷崎さんは芯を発泡スチロールにすることで、かつらの重さを500gにまで軽量化。
一気に、歌って踊るタカラジェンヌに浸透していきます。
1996年3月の月組公演「CAN-CAN」では「どんなに踊っても崩れない」とタカラジェンヌたちの評判はうなぎのぼりになりました。
そりゃ、そうですよ。夢の世界の宝塚歌劇でかつらが崩れてくるなんてありえないです。
毎月、200近くのかつらを作る
試行錯誤のかつらづくりは、理系だった谷崎さんの感性を大きく飛躍させます。
この時、花・雪・月・星・宙の5つの組と専科の生徒さんを入れて、約400人が谷崎さんのお客様だったそうです。
作るかつらは月200以上。
一つ一つをタカラジェンヌさんと相談しながら、丁寧に作るかつらは2時間以上の時間を要していました。
ライトによって変わるかつらをチェックしながら試行錯誤の連続だったそうです。
この中に、今回「あいつ、今、何してる?」に出演している、真琴つばささんや檀れいさんもいらっしゃるのでしょうね。
谷崎式チェンジ
宝塚歌劇をご覧になったことのある方は、「あ~!」と思うでしょう。
アップしていた髪型が一気にほどけてロングになるという、舞台での髪型のチェンジです。
これも、谷崎さんの考案したかつらなのだそうです。
歌舞伎をモデルにしたということですが、フワッと落ちる髪の美しさは半端ないです。
とても、かつらとは思えません。
かつらの素材探し
ここで、ちょっと、面白いなと思ったのが、かつらの素材探しに谷崎さんが言っていた場所です。
なんと「東急ハンズ」
様々な生活雑貨や工作素材がそろうからなんだそうです。
いや、私たちの身近なところで揃えていることがスゴイ!
黄綬褒章受章
そんな、谷崎さんの長年のご苦労が実を結んだのは2007年の大阪府による「現代の名工」の称号と、大阪府と美容師協同組合日本ヘアデザイン協会の推薦によって2010年に『黄綬褒章』を叙勲しました。
2008年の8月には大阪市北区のラマダホテルで谷崎さんの『黄綬褒章』も祝賀会が行われています。
谷崎さんの今
令和3年9月現在、御年77歳の谷崎さん。
今は宝塚市から三木市に移転した「ヘアサロン・プレーゴ」で後進の指導をされています。
お店のサイトを覗いてみると、宝塚歌劇団を卒業された方から、未だに舞台のかつらの注文が入っていました。
【ヘアサロン・プレーゴ】
兵庫県三木市けやき台1-11-2
営業時間 10:00~18:00
火曜日定休
電話 079-553-2063
ホットペッパービューティーからも予約できますよ。
谷崎勝久さんまとめ
タカラジェンヌのかつらを作り、宝塚歌劇を裏から支えてきた谷崎勝久さんは、理系出身の美容師さんでした。
踊っても長時間使用しても崩れない、軽くて美しいかつらを試行錯誤しながら作り続け、黄綬褒章を叙勲されました。
華やかな世界の裏側で、タカラジェンヌを支え続けてきた谷崎勝久さんに心からの拍手を送りたいと思います。
今後の更なるご活躍をお祈りいたしております。
最後まで読んでくださってありがとうございました。