「タオルで汗拭いた?みんな、ちゃんと麦茶飲んだ?お替りあるよ。大丈夫?」
運動会の練習で汗ダクになって保育室に戻り、自分の担当している5歳児クラスの子どもたちに呼びかけていた時です。
隣にそっと来て、私に麦茶の入ったコップを差し出し「先生はだいじょうぶ?」と心配そうに顔を覗き込んだ子どもがいました。
もう、感動しちゃって。「ありがとう」と言って麦茶を飲みました。最高においしかったです。
相手のことを思いやることができるって素晴らしい。5歳児ってこんなに心が育っている年齢なんですね。

話し合って決める
5歳児ってぐーんと育っていく時期で、大人の都合が効かない年齢なんですよね。
保育園って結構、行事に追われちゃってます。特に、すべての行事の中心である5歳児は次から次って感じです。
私はクラスのことは子どもたちと話し合って決めることが大切と思ってるんで、5歳児を担当するの大好きなんです。
そんな、私も行事に追われて。「時間がない」に陥ったことがあります。
作品展の時なんですが、日にちは迫るわクラス制作は出来ていないわ…ついつい、作品作りを楽しむというよりは、子どもに「あれして、これして」になってたんですね。
そんな時に、担当している子どもから「先生、これ、どういう風に作るか、みんなで話し合って決めない?」と、言われたんです。
猛反省しました。
で、正直に謝りました。みんなでつくると言いながら時間に追われて、勝手にどうするか決めていたこと。私のミスでこのままでは作品展に間に合わないこと。
すると、「でもさ、朝来た時や帰りのあそびの時間もみんなで頑張ったらいいやん。」と言うのです。泣けました。
ちゃんと、「時間がないからこのまま作ることは難しい」と伝え、話し合って制作に取り組みました。
それこそ、遊ぶ時間も惜しんで…。そうしたら、間に合っただけでなく、ずっと良いものができちゃって。子どものパワーって素晴らしい。
何かに取り組むときは、子どもと相談して話し合って、進めていく大切さがわかりました。これって、保育園のことだけではないんじゃないかな?と思います。
また、間違ったときには大人もちゃんと謝ることが必要だなと思いました。
逃げるが勝ち…
保育園最大のイベント『豆まき』の後に『身を守る訓練』がありました。
鬼が山からやってきたので、みんなで力を合わせて頑張り、最後は「これからはお母さんの言うことをよく聞きます。」と握手し約束して別れたのに、半月もたたないうちに黒いサングラスかけた太っちょさんが突然目の前に現れたものだから、びっくりして当然です。
私は子どもに逃げるように声をかけ誘導しますが、大声張り上げても、子どもに届きません。
反対に豆まきの時に勇気を振り絞って鬼に握手をしてもらい、山へ帰ってもらった経験から、黒いサングラスの人に握手に行く子どもまでいました。
「これはいけない」…。伝統行事と訓練がコラボレーションしてしまった。
その後、子どもたちに、片手に鬼のお面を手に持ち、黒いサングラスをかけて見せながらその違いを説明しました。
ただただ、怖い思いだけをさせてしまったことを反省。
その時に子どもに教えたことが「逃げるが勝ち」です。
「危ないって思ったときは格好悪くてもいい。とにかく安全な場所までにげるんだよ。」これって、身を守るためにはとーっても大切なことだと今も思っています。
友だちじゃなくても遊んでいい
いつも、二人で遊んでいる仲良しさんがいました。
5歳児になってしばらくすると、二人のうちの片方がボールを使ったゲームに夢中になりました。
そうすると、チームを作って遊ぶようになるので、当然、もう一人とだけとは遊ばなくなりました。
ある日、一人ぽつんとしている姿が目につきました。側に行って声をかけると「○○くんが、あそんでくれん。」と涙目です。
「△△くんも一緒にボールあそびしないの?」と、聞いてみました。すると「ボク、ほかに友だちおらんもん」と返してきたのです。
30人のほとんどが赤ちゃんクラスからのクラスメートですから、この返事には驚きました。そして、担任としてはいささかショック。
でも、その時に、何も言わなくても分かり合える○○くんが友だちで、他は同じクラスの人だったんだと気づきました。
そこで、私が△△くんにかけたことばが
「友だちじゃなくても、あそんでいいんじゃない?」
今、思うと苦し紛れに言ったこの言葉が△△くんにとって良い返事だったのかどうかはわかりませんが、「先生、友だちじゃなくてもあそべるん?」と驚いた顔が忘れられません。
「同じ☆組さんだし、同じ保育園だし、遊んだら面白いかもよ?」と心は引きつり顔は笑って答えたのを覚えています。
その後、ボールあそびの仲間にはいるまでは近くによっては離れ、また、近くによっては離れ、だったので少し時間がかかりました。
でも、○○くんが「お、△△くん、一緒にしよう」と言ってくれたのをきっかけに参加するようになりました。
「先生、友だちじゃなくても遊んでいいんやね。」
確かに…。その子の遊び仲間は卒園までにめちゃくちゃ増えました。
ここで、友だちというのは、その子どもによって、感覚が違うことを学びました。
どうしても、私たち大人は『友だち』という言葉には敏感になってしまうんですが、案外『遊び仲間』や『一緒にご飯を食べる仲間』はいるものです。
どっちもどっちです
そっと、お汁のお椀を運んでいた子どもに、前を見ないで歩いていて他の子どもが当たってしまいました。
もちろん、お汁は飛び散るし、どちらも着ていた服が汚れました。
床も汁でベトベト…。5歳児クラスにもなると自分がこぼしたら自分で拭くが原則。
誰もが、すぐに謝って後始末をするものと思っていました。
しかし、ここで、当たった子どもが「服汚れたよ。」と自分の服を指さして言ったので、当たられた方は目がまん丸くなりました。
そりゃそうですよね。「そっちが当たったんだよ。」大きな声が出て一発即発体制になったので仲介に入りました。
そんなごめんねってある?
私は前を見ないで歩いていてぶつかったことを伝えました。
すると、思い当たるので、ブツブツ言いながらも、まず、床を拭き始めました。それを手伝いながら、服が濡れたのは何故かを話しました。
すると、「ごめんね!」と、投げやりに言ったのです。
それを聞いて返ってきた言葉が「そんなごめんねってある?」
確かに…と思いました。また、これは自分が普段言われているのだろうなと思いました。
そこで、もう一度、悪気はなくても人にイヤな思いをさせたときはキチンと謝ることが大事であることと、もう一人にも、わざとぶつかったのではないことも伝えました。
こういった生活する中での互いの思いの行き違いはよくあります。
物事というのはいろいろな側面があって、それを日々、経験することで互いの気持ちを考えることができるようになってほしいなと感じた出来事でした。
JOYが思うこと
5歳児って、しっかりしてきて、身の周りのことがほとんど、自分でできるようになるので、つい、何でも任せっぱなしになりやすいです。
でも、まだ、生まれてたった6年。必要な時はいつでも、サポートできるようにしておきたいですね。
また、いつでもあなたの味方だよ。と言葉で伝えておくことも大切かな?
それでは、お子さんが周りの愛情に包まれて素敵なピカピカの1年生になりますように応援しています。
おまけ…意外とみんな知らないこと
お家で簡単、腕の力と腹筋、背筋をつよくする方法『体操座り』です。


最近の子どもは、生活様式の変化から、体幹がしっかりしていないことが多いと言われています。
体幹がしっかりすると姿勢が良くなるのでお試しください。
両膝を付けてしっかり足を抱え、背中をピンと伸ばすことがポイント。
この状態で脇を持って抱え上げられれば、しっかりとお腹に力が入っています。テレビを見る時に10分すると体幹が鍛えられます。